旅に出かけるとき、フィルムカメラを持参するようになった。
きっかけは、この南イタリアの旅にある。
旅慣れていなかったわたしは
旅の3ヶ月ほど前から、旅行になにを持って行くべきか考え出した。
たった1週間足らずの生活。
最低限の荷物でいいはずなのだが、色々と買い込んでしまった。
新宿で買い物をしていて、ふと目に留まったのが「写ルンです」
2つパックになっていて、期間限定でシリコンタイプの専用ケースが付いてくるという。
最初はシリコンケースがかわいくて手に取った。
そうだ!このカメラ一本はわたしが、もう一本は主人に渡して
旅の中でお互いを撮影しあってみたら面白いかも。
そんなひょんなアイデアがきっかけで最高のお土産ができた。
帰国して、カメラ屋さんで現像するまでそのお土産は開封することができない。
フィルムならではの風合いと、ワクワク感がたまらないのだ。
じぶんの写真は、だいたいどんなカットで撮影したのか記憶に残っていのだが、
主人の目線で切ったシャッターは、たとえ同じ場所に居たとしても想像が付かない。
最後の写真は、主人が撮影したもの。
アマルフィでの写真でいちばんのお気に入り。
不思議なもので、この旅行を思い返すと
実体験での記憶よりも、撮影した写真を思い出すことの方が多い。
撮影したものがたとえ綺麗でなくても、上手く撮れていなくても
その空気感を色濃く思い出せる写真が好きだ。
だからわたしは写真を撮りたいし、うまくなくてもシャッターを切りたいを思う。
誰かに見てもらったり、評価をしてもらうためだけではなく
それ自体がわたし自身の記憶だから。
追記
主人との記念日に、この写真をBOOKに編集してプレゼントした。
主人が現像したデータを見るのは、このBOOKがはじめてだったので
とてもよろこんでくれた。
追記の2枚の写真はKensuke hosoya さんに撮影してもらったもの。
彼が撮ってくれるフィルム写真は、ほんとうにいつもあたたかい。