朝目が覚めると、外は昨日の荒れ果てた海が嘘のように晴れていた。
2階建てのホテルでは、朝になると朝食のパンが焼けるいい匂いが部屋までしてくる。
支度を済ませ、朝食会場に着くと早朝でまだほとんど誰もいなかった。
気候が最高だったので、ベランダでいただくことに。
この日の朝食は南イタリアの旅での鮮明に記憶に残っているシーンのひとつとなった。
特に美味しかったのはりんごのケーキ。
コンポートのように甘く煮てあるりんごが入っているのだが
しっとりしていて、優しい口溶けだった。
味はもちろんどれを取っても抜群だったが、
もうひとつ記憶に残っているのは、ホテルのネーム入りのカップやお皿、コーヒーやミルクのシルバーポット。
きっと長く使われているものなのだと思うが、その風合いがとても素敵だった。
蚤の市や骨董マーケットなどでそういったものをよく見るけれど
そういうのではなくて、このホテルの歴史と共に月日を重ねてきたような
味わい深い魅力を感じた。
朝食会場から部屋に戻ると、かわいいコスチュームを着たルームキーパーさん達が廊下で仕事をしていた。
「グッドモーニング、マダム」
柔らかい笑顔で挨拶をしてくれる。
マダムと呼ばれるのはなんだか嬉しいような、恥ずかしいような。
荷物を取って、外に出た。
今日はラヴェッロという場所に行くらしい。
昨日訪れたポジターノとは逆側。
今回の新婚旅行は全て主人に任せっきり。
頼もしいかぎりである。
バスに乗って30分もしないうちに着くらしい。
南イタリアの移動手段はやはりバス。
今日も曲がりくねった山道を行くのであろう。
そうこうしているうちにバスがやってきて、私たちは運よく座席に座ることができた。
確かに山道はくねっているが、かなり山を登っているためスピードがない分快適だった。
ラヴェッロに着くとそこにはすでにたくさんの人がいた。
山の上から見下ろす海は真っ青で、すごく綺麗だった。
少し歩くと協会があって、その前に広場のような場所があった。
広場を囲むようにオープンテラスのカフェやお土産やさんが連なっている。
山の上なのに、協会がいくつもあって街にはアマルフィとは一味違う落ち着いた雰囲気が漂っていた。
ラヴェッロでは、毎年6月〜9月頃まで音楽祭が多く開催され、
アマルフィ海岸をバックに、オペラやオーケストラの演奏会が連日開かれている。（2020年は新型コロナウイルスの影響で多くのイベントが中止を決定している。）
天空の街と呼ばれるラヴェッロで一番感動したのは
ヴィッラ・チンブロネ庭園の中にある「無限のテラス」
入場料がかかりますが、（1人約７ユーロ）※2017年時点
天気が良ければ本当に見応えがあるのでおすすめです。
園内にはレストランや絶景のカフェもあります。
緑のトンネルを抜けて行くと、テラスの入り口が見えてきます。
そこにはブルーの海と空。
無限のテラスのにある大理石の彫刻は、当時ローマから追放された７人の王様の胸像。
なぜ、追放されたのにこんな最高な場所に胸像があるのか？は疑問のまま。
最高の景色と空気に圧倒されていると
夫婦に、記念撮影を頼まれパシャり。私たちも撮ってもらいました。
庭園内を堪能し、最初の広場に戻ってくると
主人が探しておいてくれたレストランへ向かうことに。
細い道を抜けるとすぐに店に着いた。
どうやら相当の人気店らしく、店の前にはすでに人だかりができていた。
お肉屋さんが経営する Cumpa Cosimo(クンパコジモ)というお店。
名物おばあちゃんがいて、本当に素敵。
店内が混み合ってきても「ピアノピア〜ノ（ゆるりゆる〜り）」と笑顔で対応してくれる。
2、30分待つと、席へ案内された。
店の中は満席。店の扉は全開で、外で待っている人の姿が見える。
まずは、前菜アンティパストディマーレ。
レタスの上に、たくさんの魚介類と真っ赤なトマト、レモンが乗っていた。
私はいまだにこの味が忘れられない。
旅から帰ってから何度この味を真似たことか。。（でもこの味にはならない。）
前菜から、この店に胃袋を掴まれてしまった。
前菜が食べ終わると次々に料理が運ばれてきた。
こちらはレモンの酸味が効いた、小羊肉のレモンソースがけ！
お店の人気メニューだ。
フォークで切れるほど柔らかかった。
お次は、焼きなすとズッキーニのスライスオイルソテーとチキンのチーズ焼き。
どれを食べても絶品だった。
本当はデザートまで頂きたかったが、お腹がパンッパンで
たどり着けなかった。
コロンコロンのお腹を抱えながらバスで下山することに。
ただ、ここでもバスに阻まれることとなった。
南イタリアは交通手段だけがネックである。
バスは待てど待てど、満員の状態でやってくる。
誰も乗れないので、バス停には大行列ができていた。
時間だけが過ぎていく中、一台のワゴンタクシーがやってきて
聞いてみると少し割高だが、相乗りで数人乗せることができると言っている。
近くにいた外国人カップル２組と相乗りで下山することになった。
バスを待っていたら、きっとあのまま日が暮れていただろうに。。。
3時過ぎ、私たちはアマルフィーに戻り
海を楽しむことにした。
昨日まで荒れ果てていた海は、スカイブルーの宝石のような落ち着きを取り戻していた。
堤防を歩いていると、日本人らしき女性ふたりが話しかけてくれた。
彼女たちは、福岡県からで
ツアーで北イタリアも堪能したのちにアマルフィにきていた。
明るいマダムで、すごく元気をもらった。
「写真を撮ってあげるわよ！！可愛いわね〜〜！」とまるで親戚のように。嬉
海岸のパラソルでゆっくりすることに。
赤と白のキャンディーの包み紙のようなパラソルは、アマルフィ海岸ならではのカラーリング。
イタリアの伝統的な食後のお酒「レモンチェロ」を注文した。
ポッカレモンのような酸味のあるカクテルを想像していたが、全く違っていた！！！
ロックグラスになみなみと注がれたそれは、アルコール度数３０以上のお酒で
スピリッツのような喉が熱くなるような感覚があった。（笑）
イタリア人はお昼休憩に自宅に戻り、昼食後にはレモンチェロをクイっと引っ掛けるらしい。カッコいいな。
私たちは顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。
気を取り直して、フルーツシャーベットを注文。
とっても爽やかな食後のデザートだった（笑）
南イタリアでの旅は、不思議なことにすぐにお腹が減った。
おそらく、炭水化物をあまり取っていないからだと思う。
魚介や、サラダばかりでとてもヘルシー。
サンセットを見ながら、夜ごはんは何を食べようか話した。
今夜が、アマルフィ最後の夜。
海沿いのレストランでも行こう！という事になり夜も海鮮とレモン。
とっても美味しかった。
「アマルフィ、また来たいね。」と
寂しさをこらえながら乾杯。
こうしてアマルフィ3日目を終えたのでした。
明日は朝から、ナポリへ車で移動。
行きの車中では乗り物酔いに悩まされたので少し心配。
枕元に酔い止めを置いて寝ました。
ハネムーンは絶景のアマルフィ海岸でイタリアンバカンス ~ ナポリ編(Vo.4)に続く
